「この1円玉、5千円で買わないか？」

「久しぶり、ちょっといい？」
「おう、前の飲み会以来だね」
「いきなりだけど、この1円玉、5千円で買わないか？」
「バカなの？ やだよ」
「なんで？」
「いやいや、その1円玉、すごい珍しいの？」
「普通のだよ。製造年も模様が特別変な訳でもない」
「じゃあ、全力でいらないよ」
「入手経路を説明してやろう」
「......」
「前の飲み会で幹事の女の子いたじゃん」
「なんか変わった子だったね、よくこっちにらんで来てた、可愛かったけど」
「へー。円単位でみんなにお釣り渡してたじゃん」
「それで会計遅くなってた」
「それだけで遅くなってた訳じゃないみたいだけど.......」
「そうなの？ 」
「それで僕、小銭うっとうしいから、お前に上げたんだっけ？」
「それがこの1円玉。その可愛い子がこの1円玉にLINEアカウント書いてたんだよね」
「えっ？」
「どうする？」
「……3000円にまけてくれない」