1. あの埠頭

4
110

高校の同級生のマキと久しぶりに会うことになった5月のある日、晴れ予報だったから二人とも大好きで、放課後よく立ち寄ったあの埠頭のカフェで話すことに。

いつもよりやや深い蒼い水面と、対称的に爽やかな水色の青空を眺めながら今の暮らしのことを報告したり愚痴ったり……。

「ねぇ、あそこの白い大きなホテルでさぁ、私たちが好きだったボート部の先輩が結婚式したよね?」
「そうそう、お相手は同じボート部の後輩で」

校内の女子から人気があった先輩には、あの頃話しかける勇気なんて持てなかった。

「そんな先輩の結婚式には勿論呼ばれなかったけどさ、ここに来てあの建物を見ると絶対に先輩を思い出すよねぇ(笑)」
「ほんとに!」と頷くマキ。

でも何年たってもあの気持ちは忘れられないなぁ……。

カフェを出て海岸沿いを歩きながら吹かれるそよ風はほのかな塩の味。

マキもやっぱり少ししょっぱそうな顔をしてた──。
青春
公開:18/05/19 02:53
更新:19/05/14 01:01

ことのは もも。( 日本 関西 )

日本語が好き♡
18歳の頃から時々文章を書いています。
短い物語が好きです。
どれかひとつでも誰かの心に届きます様に☆
感想はいつでもお待ちしています!
宜しくお願い致します。

こちらでは2018年5月から書き始めて、2020年11月の時点で300作になりました。
これからもゆっくりですが、コツコツと書いていこうと思います(*^^*)

2019年 プチコン新生活優秀賞受賞
2020年 DJ MARUKOME読めるカレー大賞特別賞受賞
2021年 ベルモニー縁コンテスト 入選

カントー地方在住
 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容