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昔々、山彦と海彦は天の神様から人の言葉を返す役目を任されていました。しかし海彦は、船乗りの息子が「お父さーん」と叫んだ時には「はーい」と返し、夕陽に向かって「バカヤロー」と叫ぶ若者には「バカって言ったほうがバーカ」と返して遊んでいました。
ある日、海彦は神様にそれがバレて酷く怒られました。
「山彦を見習え!」
「うるせぇ!」
海彦は癇癪を起こし「もう、どうでもいい!」と体を震わせて海の中に潜ってしまいました。海彦の震えが波となって海が揺れました。
その時です。
神様は浜辺で若い女が大声で叫んでいるのを見つけました。
女がいくら叫んでも、返ってくる言葉はありません。
ただ、波の音だけが静かに響きました。
「あーすっきりした。海って凄いね。私の悩みなんかどうでもいいって思えてきたわ」
ありがと、と言葉を残して女は立ち去りました。
それを見て神様は考えるように頷き、黙って天へと帰っていきました。
ある日、海彦は神様にそれがバレて酷く怒られました。
「山彦を見習え!」
「うるせぇ!」
海彦は癇癪を起こし「もう、どうでもいい!」と体を震わせて海の中に潜ってしまいました。海彦の震えが波となって海が揺れました。
その時です。
神様は浜辺で若い女が大声で叫んでいるのを見つけました。
女がいくら叫んでも、返ってくる言葉はありません。
ただ、波の音だけが静かに響きました。
「あーすっきりした。海って凄いね。私の悩みなんかどうでもいいって思えてきたわ」
ありがと、と言葉を残して女は立ち去りました。
それを見て神様は考えるように頷き、黙って天へと帰っていきました。
ファンタジー
公開:18/05/18 23:54
更新:18/05/23 20:57
更新:18/05/23 20:57
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
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