そして海は全てを受け止める

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昔々、山彦と海彦は天の神様から人の言葉を返す役目を任されていました。しかし海彦は、船乗りの息子が「お父さーん」と叫んだ時には「はーい」と返し、夕陽に向かって「バカヤロー」と叫ぶ若者には「バカって言ったほうがバーカ」と返して遊んでいました。
ある日、海彦は神様にそれがバレて酷く怒られました。
「山彦を見習え!」
「うるせぇ!」
海彦は癇癪を起こし「もう、どうでもいい!」と体を震わせて海の中に潜ってしまいました。海彦の震えが波となって海が揺れました。
その時です。
神様は浜辺で若い女が大声で叫んでいるのを見つけました。
女がいくら叫んでも、返ってくる言葉はありません。
ただ、波の音だけが静かに響きました。
「あーすっきりした。海って凄いね。私の悩みなんかどうでもいいって思えてきたわ」
ありがと、と言葉を残して女は立ち去りました。
それを見て神様は考えるように頷き、黙って天へと帰っていきました。
ファンタジー
公開:18/05/18 23:54
更新:18/05/23 20:57

のりてるぴか( ちばけん )

月の音色リスナーです。
ショートショートって難しい。
最初の頃は400字は短すぎるなんて思ってましたが、色々書くうちに400字に無限の可能性を感じるようになりました。

読んだ人の心が少しでも動いたらいいな。何かを感じてくれたらいいなと思って書いてます。

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