ねがいごと、アゲイン

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その男は、召使いが掲げる一本の笹の枝を手に取ると目を細めた。
「我がグループに不可能はありません。どんなものでも手に入れてご覧に入れます。では、ここに願い事をお書きください」
傍に控えていた美貌の秘書が短冊と万年筆を手渡した。
男はスラスラと長年の願い事を短冊に書く。
『願い事が産まれますように』
その男は、成功と言う言葉では語れない程の成功をし、国家を買えるほど富を築いた。名声、女、欲しいものは全て手に入れた。
幸せの絶頂のはずだが、そのような状況が招いたのは、願い事のない退屈な日々。それを解消するため、願い事を本当に叶えるという笹の枝を探させたのだ。グループの総力をもってしても10年かかった。今日、七夕の日、ついに男の願いが叶う。
短冊が飾られると、笹の枝が金色に輝き、その男を光が包んだ。
オギャー!
無限の願い事を持つ存在......。
笹の枝の横で元気な赤ちゃんが泣いていた。
ファンタジー
公開:18/05/19 12:06
更新:18/05/28 22:34

十六夜博士

ショートショートを中心に、色々投稿しています。
よろしくお願いします。

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