野良猫の片思い

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 坂を上った先に大きなお屋敷がある。手入れの行き届いた庭に四季折々の花が咲く。薔薇にパンジーにスイートピー。名前の知らない花もある。それらの香りは風に乗って私のところへ届く。
 でも私が好むのは絢爛な花壇ではない。視線を上げて、お屋敷の2階の窓辺を見る。滑らかな曲線を描く浅葱色の花瓶の中で、純真無垢に咲く花がある。控えめな表情の白いワスレナグサ。窓の外に興味がないくせに、やることがないから外を見る。彼女の物憂げな姿に私は恋に落ちた。
 彼女に触れたいと何度もお屋敷に侵入した。だが毎回人間に追い出される。汚い野良猫には身分違い。渋々帰る毎日だ。
 いつものようにお屋敷を尋ねると花瓶にワスレナグサがいなかった。なんと彼女は茶色に染まり花壇の土に倒れていたのだ。初めて触れた彼女は脆く細かった。その場でわんわん泣く私を花壇の花々は煩そうに睨んだ。私は寝床に彼女を連れていき、それから毎晩共に眠った。
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公開:18/02/21 19:31
更新:18/02/21 19:32

だんご( 石の下 )

だんごむしのだんごちゃん。まるくなって空を見つげる。
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