かさねちゃんと通勤電車

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ひょんな事から育てている撫子の花精霊に付きまとわれている。
名を、かさね、と言う。
害はなく、逆に僕に安全な道を教えてくれているらしい。
そのかさねが珍しく朝から僕の後をついてくる。
が、それどころではない。会社に遅刻しそうなので駅へ猛ダッシュ。
ギリギリで電車に駆け込む。
閉まるドアの向こうで無表情のかさねが僕を見送っていた。

…何も起こらなかったな
満員電車の中で一息つく。
ふと見ると網棚の上にかさねがいた。
…おいおい、何でそんな所に?
「ん…」とかさねが指さす。
ドア際で女性が痴漢されているようだ。
厄介ごとはゴメンだ。
「ん…」とかさねがしつこい
分かったよ…
「おい、止めな」
「チッ何だよテメエ」
車内は騒然となったが他の乗客も加わり痴漢を確保。
次の駅で降りる羽目になり遅刻確定。
急いでタクシーを使った。

その電車が怪我人が出るほどの事故を起こしたと聞いたのはその後のこと
ファンタジー
公開:18/02/20 16:39
更新:18/02/20 17:00

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

名作絵画ショートショートコンテスト
「探し物は北オーストリアのどこかに…」入選

働きたい会社ショートショートコンテスト
「チェアー効果」入選

ありがとうございます

 

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