左利きのレッスン

カルチャースクールの講座案内をぼんやりと眺めていると「左利きになれるレッスン」という文字が目に留まった。見ると3回のレッスンを受講すると左利きになれるというものだ。
小さい頃は左利きに憧れていた。ハサミが使いにくくても習字が難しくても、左利きというだけで特別なような気がしていた。私は受講を決意した。


第1回は左手を鍛えるというものだった。左手で電卓を打ち、左手でスマホを操作し、左手でペットボトルを開ける練習をした。
第2回は右手の筆記機能を休ませるというものだった。右手を専用の機械に5分入れたのち、右手で文字を書こうと思ってもミミズがのたくったような字になった。
次の講座までの辛抱だと我慢した。

第3回で右手の筆記機能を左手に呼び覚ますはずだったのだが、私はインフルエンザにかかってしまい受講することができなかった。

私は、右利きでも左利きでもない不自由な生活を送ることとなった。