夢から生まれた作品

「最後のお題は『夢』かぁ」
　僕は夢、夢、と唱えながらアイディアを練る。
　夢をトリックに使う、てのはどうだ？　犯人は被害者を傷つけるつもりはなかったのに皮肉な結果になる。犯人と被害者にもっと切ない関係があればなおいいかも。家族？　いや恋人？　片思いでもいいか。逆に被害者の方が犯人に片思いとか？　それが現在の話のようにミスリードすればもう一ひねりできるな。
　なんだかアイディアがどんどん湧いてくる。問題はこれを四百字に収めることだけど……あ、そうだ、逆の方から書いて説明を削れば叙述トリックにもなるぞ。まさかこの主人公が被害者だとは思うまい。タイトルをダブルミーニングにすればここのヒントはなくてもいいな。
　おおすごい、四百字ぴったりだ！　笑えて泣けて、なるほどと膝を打つ、夢のような素晴らしい作品ができあがった。

　……という夢から覚めたのが締め切り五分前だったんだからしょうがない。