百物語

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 その男は百話目を話し終えたとたん、禍々しい笑みを浮かべた。
 男の話は自分の町に伝わる魔鬼の話だった。その魔鬼は女を犯し殺すという。
「この会は美人ぞろいだ」と立ち上がった男に驚き、数人いる女たちが逃げようとした。
 獲物を品定めする狼のような目が自分に留まり、ずんずん近づいてくる。
 私は魔鬼の話を知っていた。だが聞いたのは退治した側の視点だ。つまり、私は魔鬼を殺した一族の末裔なのだ。
 魔鬼はそんなことなどつゆ知らず私を押し倒し、脚を割って入ろうとしたが、その動きを止めた。
 預かり持っていた伝承の剣を魔鬼の腹に刺したからだ。
 傷を押さえ倒れた魔鬼だが、油断したすきにその姿はかき消えてしまった。
 私の代で復活するとは。
 運命を呪いつつ、魔鬼を追わねばならない宿命にわくわくする自分もいた。
ホラー
公開:18/02/21 03:55
更新:18/02/21 03:56

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