文鳥占い

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 一羽の文鳥がととっと籠から出てきた。文鳥は可愛らしく首をひねったかと思うと、並べられたカードから一枚をちょいとくわえて引っ張り出した。
 首相はそのカードを受け取ると、厳しい表情で見つめた。
「消費税率は維持、国債発行を増やす、か。これならなんとかなるな」
 首相はほっとした様子で言った。首相の秘書とはいえ、僕がここに来たのは初めてだ。僕は思い切って訊いてみた。
「文鳥占い、ですか?」
「ま、形ばかりのものだよ。昔からの伝統でね」
 苦笑する首相を見て、僕はほっとした。この国の政治が文鳥の言いなりになってるなんて悪い冗談だ。
「当たり前だろう? この文鳥は形だけで、中身はクラウドAIに接続したロボットだ。政治はちゃんとAIが判断しているから安心しろ」
SF
公開:18/02/19 09:13
ショートショート10番勝負

uryusei( 東京 )

瓜生聖
ITmediaで記事を書いている兼業ライター

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