魔法のスプーン　25

あら、もしかして真帆
あれ、沙也加じゃない。こんな場所で会うなんて奇遇だね
本当にそうね。あなたは高校を卒業した後、すぐ上京しちゃったから、もうかれこれ十年かな
そうなんだ、お互い歳を取ったんだね。私は、ほらっ、買い物に来たの。あなたは
私は旅行で東京に出てきたんだ
へぇ～そうなんだ。そうだ、今、時間あるんでしょ。そこの喫茶店でお茶でもしましょ
お客様、お待たせ致しました。紅茶でございます
それでどうなったの、愛しの彼とは…
もう沙也加ったら昔の事よ
何言ってるのよ。あなたは彼を追いかけて東京に行ったんじゃないの
真帆はスプーンでティーカップの底をグルっと回した
それなんだけどさ、実は振られちゃったんだ。本当に彼って女心が分からない人。私は彼のためを思って口酸っぱく言っているのに彼の愛情は薄れていくばかり。私は心をかき乱されただけ
それなら今度は蜂蜜くらい甘く接して見たら。濃くなるかもよ。