魔法のスプーン　9

そう、俺がこんな姿になったのはあの魔法のスプーンのせいだ。まさかあんなボロボロのスプーンに不老不死の力があるなんて誰も思わないだろ。俺は飛行機が地面に墜落して重症だった。体中の骨と言う骨が軋み、その度に激痛が体中を駆け巡った。ほんの癒しのつもりで乾いた喉を潤しただけなんだ。それなのにこんな体になってしまった。俺の姿は醜いか。そうか、そうだろうな。俺は確かに醜い。でもしょうがないんだ。不老不死と言っても若返るわけでも、再生するわけでもない。現状が維持されるだけ。使えば当然脆くなる。だから代わりになる体を求めて旅しているんだ。世の中には命を簡単に捨てる人間がいるからな。だから俺はそいつの使える部分を再利用している。文句を言われる筋合いはないね。自分の命を捨てたやつが悪いんだ。俺が化物だって。いいや、違うね。俺にして見れば君たちの方が醜悪さ。だって君達は生きた人間の臓器を商売道具にしているのだろ