おかえり

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 彼女が足の腫瘍で亡くなってから数ヶ月後、一羽の白い文鳥がベランダにやって来るようになった。その文鳥は俺の腕に止まってたえず囀りながら、毛繕いしたり片羽を伸ばしたり、とにかく見ていて飽きなかった。一瞬動物好きだった彼女の生まれ変わりではと思ったが、すぐにそれを打ち消した。感傷に浸るのは柄じゃない。
 そんなある日、彼女の姉さんが訪ねて来た。何となくその文鳥の話をすると、姉さんは突然わっと泣き出した。
「あの子ね、次は大空を自由に飛べる、鳥に生まれ変わりたいって言ってたの。それも真っ白な鳥に」
「まさか…」
 姉さんはその証拠として、彼女とのラインを見せてくれた。俺は込み上げてくるものを堪えながらそれを読んだ。
 姉さんが帰ってまもなくすると、また文鳥がやって来た。気が付くと俺は、当然のように俺の腕に止まって囀りながら、俺を見ている真っ白い文鳥に柄にもなくこう言っていた。
「おかえり」
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公開:18/02/19 19:16
更新:18/07/07 08:00
ショートショート十番勝負

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