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母から仕送りが届いた。
ダンボールに沢山の缶詰が並んでいる。

賞味期限を確認しながら箱から出していく。
コーン、コーン、ツナ、ツナ、さんま、猫缶…猫缶?
この猫缶は実家のミイのものだ。缶詰なので間違ったのだろう。そそっかしい。まあ、ミイごと送ってこなかっただけよしとしよう。

おでん、おでん、サバ、サバ、サバ、サバ、ア…ア?

最後に箱の底から取り出した缶には大きく「ア」と書かれていた。賞味期限などは書かれていない。

何が何だか分からないので、電話をかけることにした。

ワンコールで母が出た。
「めずらしいな。どないしたん」
「オカン仕送りありがとうな。でもな、猫缶入っとったで」
「猫缶入っとった?まちごうたわ!食べてええで!」
「食わんわ!あとこのアはなんやねん!」
「それはア缶や!ただの空き缶を開かんようにしたやつや!開かんア缶ておもろいやろ!」

電話の向こうで母の笑い声が続いた
その他
公開:18/02/19 14:12
更新:18/02/19 14:41

ぱせりん( 中四国 )

北海道出身です。

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