月を舐める

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僕はぼろぼろ泣きながら、はだしで庭の池へと走った。
池にはお月様が浮かんでいる。僕の涙がぴちゃりぴちゃりと落ちるのに合わせて、その姿は歪んでいく。
震える手でお月様をすくおうとしたけれど、みるみる指の間からこぼれ落ちてしまう。
それを見て、よけいに涙が溢れだす。顔がじわっと熱くなる。
なんども掬おうとする僕をからかうようにお月様は揺れている。
やがて僕は這いつくばって、お月様を舐めていた。なんの味も分からなかった。それっぽっちが僕の欲しかったものだった。
青春
公開:18/02/18 21:52
更新:18/02/18 21:53

のりお( 愛媛 )

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