花縒(よ)り団子
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商店街の片隅に団子屋を見つけた。おばあさんが一人で営んでいるようだ。
「いらっしゃい」
おばあさんは秋桜の花束を手にしていた。みるみるうちに花束からは桃色の団子が作られていった。
唖然としている私におばあさんは言った。
「花を縒って団子を作るんだ。代々伝わる秘伝の技でね」
私は向日葵と秋桜を持ち帰ることにした。おばあさんは団子を縒り、七輪で焼き、みたらしにつけて言った。
「今日のうちに食べたら明日いいことがあるよ」
その夜、花の夢を見た。
向日葵の夢では高い位置から全身に日光を浴び、秋桜の夢では揃って風に吹かれた。
それからしばらく店に通ったが、冬が近づいたある日、張り紙がしてあった。
「春一番までお休みします」
しかし、春が過ぎても張り紙はそのままだった。
調べると、今年はこの街に春一番が吹かなかったらしい。団子も花の夢もお預けだ。
来年こそはこの街に春一番が吹くことを願った。
「いらっしゃい」
おばあさんは秋桜の花束を手にしていた。みるみるうちに花束からは桃色の団子が作られていった。
唖然としている私におばあさんは言った。
「花を縒って団子を作るんだ。代々伝わる秘伝の技でね」
私は向日葵と秋桜を持ち帰ることにした。おばあさんは団子を縒り、七輪で焼き、みたらしにつけて言った。
「今日のうちに食べたら明日いいことがあるよ」
その夜、花の夢を見た。
向日葵の夢では高い位置から全身に日光を浴び、秋桜の夢では揃って風に吹かれた。
それからしばらく店に通ったが、冬が近づいたある日、張り紙がしてあった。
「春一番までお休みします」
しかし、春が過ぎても張り紙はそのままだった。
調べると、今年はこの街に春一番が吹かなかったらしい。団子も花の夢もお預けだ。
来年こそはこの街に春一番が吹くことを願った。
その他
公開:18/02/18 21:46
北海道出身です。
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