サ缶

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我が家は先祖代々左官屋をやっている。
小さい頃から親父の仕事を見ていた俺は、跡を継ぐと決めていた。
しかしなかなかその気持ちを打ち明けられず、今日まで来てしまった。

大学4年生。就活の時期だ。
親父からどうするのか聞かれ、良いチャンスだと思い言ってみた。

「親父の後を継ぐ!」

驚いたような目をした後、親父ははにかんで言った。
「そう言ってくれるのを待ってたんだ」

なんだ、二人とも同じ方向を向いていたんじゃないか。
もっと早くに話していればよかった。

親父が押し入れの中から大きな缶詰を出してきた。
「サ缶」と書いてある。
「?」「砂が入っている。砂の缶でサ缶だ」

この缶詰に入っている砂は、そんじょそこらの砂じゃないんだぞ。
人生の大勝負という仕事で、この砂を使うんだ。
これをお前に託す。

俺はこの缶を開けるような仕事ができるだろうか。
とりあえずこの左官屋をもっと盛んにしよう。
その他
公開:18/02/18 13:15
更新:18/02/18 13:27

いづみ( 東京 )

文章を書くのが大好きです。

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