魔法のスプーン　7

マダム、このような晩餐にお招き頂き有難うございました。
良いのよ。一人淋しく食べるより二人の方が…ねっ。だから誘ったの。それであの話、考えてくれた。
マダムとの結婚ですか。しかし私には妻がいますし
その事なら心配ないわ。もう片付いたから
それはどういう意味ですか
こっちに来て
男が目の前に置かれた赤いシチューをスプーンで掬うと目玉や指がゴロッと転がった
マダム、この中身は一体。
あら、あなた、さっき言ったじゃない。あんな女がいなければ私と結婚するって。だから私が代わりにあの女を調理したの。体の部位を細かく切り刻んでじっくりコトコト煮込んだのよ。あなたに食べて貰いたくて。それじゃ、さっきのステーキも。そうよ、血の滴る良いお肉だったでしょ。あなたも美味しそうに食べたじゃない。私、あなたのためにやったの。もう逃げないでね。もし私を裏切ったら。
マダムは魔女の様だった。この悪夢はこれから先も続く。