幸福指数

　私は生まれつき体が弱く、仕事を転々としていた。そのため家はいつも火の車だった。しかしそんなことを妻と娘はなにも咎めなかった。一家で過ごす時間が私にとって一番の幸福だった。
　娘が高校生になったとき、スマートフォンを買ってやった。娘は大喜びで、私にはついていけない流行りの遊びをしていた。
　そんなある時、「幸福指数」というアプリが出た。それは質問にいくつか答えるだけで、自分の「幸福指数」がわかるのだという。私は娘に促されて「幸福指数」がどれほどか、試してみた。きっと相当な値が出るに違いない。
　結果は100点中「23点」だった。
「23点」の下の解説に、「3人家族にしては年収が低すぎるカモ？？もうちょっと頑張ろう！！　」の文字。
　なぜ？私はこんなに幸福なのに。いったい誰がどんな基準で「幸福指数」を決めているんだ？。私はこの一瞬で数値化できないほど不愉快になった。