オ缶

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以前、非常食用に、と大量に買った缶詰の賞味期限が近づいてきた。
だから最近は毎日缶詰を食べる。
鯖缶、照焼き缶、おでん缶なんてのもある。これがなかなか美味い。

そんなある日、オ缶、と書かれた缶詰が棚奥から出てきた。
買った覚えもないし、「オ?」そんな食べ物は知らない。
内容物が何も表記されていないが、大きく“おふくろの味”とだけ書かれていて。
怪しい…
開けても大丈夫なのだろうか?
ふと気がつく。
オ缶…つまり、おかん。
「ダジャレかい!」ついツッコミを入れた。
肉じゃがでも入っているのだろうか?
きっとそうだ。

カシュ!
開けてみた。
驚きで声も出なかった。
数年前に亡くなった母が目の前にいる。
「母ちゃん!」
そう叫ぶと、母はまるで天国にでもいるような穏やかな笑顔で、うんうん、と頷いて消えた。
「うんうん、じゃねーよ。驚かしやがって…」
…でも、ま、あの世でも元気そうでよかった。
ファンタジー
公開:18/02/17 03:07
更新:18/12/01 02:51

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

名作絵画ショートショートコンテスト
「探し物は北オーストリアのどこかに…」入選

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「チェアー効果」入選

ありがとうございます

 

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