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暇を持て余した柳の木と、その下に佇む女の幽霊が、ある勝負をすることにしました。それは、通りかかった人間を怖がらせて追い返したら幽霊の勝ち、見とれさせたら柳の木の勝ちというものです。ちょうどそこへ若い青年が通りかかりました。柳の木は黄緑の可愛らしい花を揺すって青年に猛烈にアピールしました。すると青年は立ち止まって、柳の木をじっと見つめました。青年はしばらくそうして柳の木を見つめてから、歩き去って行きました。「勝った!」と柳の木は喜びました。幽霊は、おとなしい様子で言いました。
「勝負はあなたの勝ちで結構です。あなたのおかげで待ち人に会うことができました。あれは、私の息子なのです」
幽霊は母親の顔になると、幸せそうにすぅっと消えて行きました。
柳の木は、自分のイメージダウンになる幽霊のことが嫌いでしたが、行ってしまったら行ってしまったで、少し寂しいのでした。
「勝負はあなたの勝ちで結構です。あなたのおかげで待ち人に会うことができました。あれは、私の息子なのです」
幽霊は母親の顔になると、幸せそうにすぅっと消えて行きました。
柳の木は、自分のイメージダウンになる幽霊のことが嫌いでしたが、行ってしまったら行ってしまったで、少し寂しいのでした。
その他
公開:18/02/18 07:45
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