potpourri（ポプリ）

2人のポプリがいた。
この2人はルームシェアをしている。
ポプリとは枯れた花のことだ。
彼らは日の目を見ずに枯れ続けるしかなかった。

ある日、片方のポプリにハガキが届いた。
なんと、役所の手違いで実は彼は薔薇だったという。
彼はすぐに受け入れ、そして歓喜した。
薔薇になることによって得られる幸福と、ポプリであった日々がどんなに辛かったかをもう一方のポプリに語りつつ、荷物をまとめて部屋を飛び出した。

やった！オレは薔薇なんだ！咲いていいんだ！咲き誇っていいんだ！

そう考えていたのも束の間。彼は車に撥ねられてしまった。即死だった。
辺り一面に広がる血は、まるで薔薇の花が散っているようだった。
薔薇になるといっても、全てが保証されるわけではなかった。

取り残されたポプリは、散った同居人をしばらく呆然と眺め、そして歩きだした。

枯れ続けよう、咲き誇るように。
咲き誇ろう、枯れたままで。