小さな魔法使い

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 少年は花びらを集めるのが好きだった。花びらにすれば、枯れることなく鮮やかな色が保たれるからだ。実際に少年が摘んだ花は全て瑞々しいままだった。母に見せると「まあ、あなたは魔法使いさんなのね!」と喜んで頭を撫でてくれた。
 幼稚園に上がり、少年は友だちに花びらコレクションを見せた。
「これが公園の花。これはおうちの花。きれいでしょ?」
「すっげー!今度うちにある花もきれいにして!」
 少年は友だちに言われるがまま、花壇の全ての花を摘んだ。二人で盛り上がっているところに友だちの母がやってきた。
「あなた!何してるの!全く、あそこの家のママは変だと思ったのよ。もう二度とうちに来ないでちょうだい!」
 少年と友だちはこっ酷く怒られて泣いた。家に帰ると少年の花コレクションは全て色褪せた。そして二度と枯れない花びらを摘むことができなくなってしまった。
 少年の母は我が家系の希望は絶たれたと悲しんだ。
ファンタジー
公開:18/02/16 17:32

だんご( 石の下 )

だんごむしのだんごちゃん。まるくなって空を見つげる。
ツイッター @Fdng7

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