君の色は?

1
197

仕事帰り、駅前の陸橋下の花壇に座り込んでいる小さな女の子を見た
厄介ごとはゴメンだ、といつもは思うのだが何故か放っておけない気分だった
「どうしたの?」
怯え顔の少女が涙目で僕を見上げる
「迷子?」
「…違う」
服や頬は泥足で踏まれたように汚れていた
…何て酷いことを…
家はここだと意味不明なことを言う
温かい紅茶を手渡すと笑顔を浮かべた

行き交う人の好奇の視線が痛い
このままでは誘拐犯に間違えられる
「お巡りさん呼んでくるよ」
「あの…わたしを育ててくれますか?」
は?
答えられず、待っててと残して交番に駆け込んだ

戻ると少女の姿はもうなかった
警官はやれやれと呆れ顔だ
「いたんです。確かにここに…」
花壇は踏み荒らされていた
何も植えられていないが、よく見ると靴跡の中に双葉が一つ
まさか…

僕は毎日その花壇に寄り、双葉はスクスクと育ち、ついには蕾をつけた
さて、君の花は何色かな?
ファンタジー
公開:18/02/14 16:39
更新:18/02/14 17:14

Kato( 愛知県 )

ヘルシェイク矢野のことを考えてたりします
でも生粋の秦佐和子さん推しです

名作絵画ショートショートコンテスト
「探し物は北オーストリアのどこかに…」入選

働きたい会社ショートショートコンテスト
「チェアー効果」入選

ありがとうございます

 

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容