竜と少女と花と

ある日、竜が村に降りてきて暴れ始めた。
逃げ回る人々の中で勇敢な少女が竜と対峙した。

どーしてこんなことをするの？
俺が地上で最強だからさ
あなたは最強なんかじゃない
ほほう、俺より強い奴がいると？
いるわ、花よ
うははっ！花だと？
そうよ。嘘だと思うなら花を捕まえてきてごらんなさい

楽勝だ
竜は花畑に飛んだ。
だが実際やってみると花は摘めなかった。
太く硬く鋭い爪はすぐに花をボロボロにしてしまう。
苛立った竜は炎で花を焼き払った。

次の日、別の花畑へ。
何度やっても同じ。
また苛立った竜は尾で花を叩き潰した。
次の日、また次の日と竜は花畑を巡った。
後には滅茶苦茶にされた花が残るだけだった。
くっそ俺は最強のはずなのに…
花に負けた…

「それで？どーなったの？」
男の子は母親に聞く。
「竜は自分は最強じゃないと分かって、もう人里には降りてこなくなったの」
「ママが最強ってこと？」