駒たちの声
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その男は、盤上の駒たちと会話をすることができた。目を閉じれば、彼らの思念が流れ込んでくるという。
「ここでおれを突っ込ませてくれ」
「わたくしめの斜めの睨みを活かすべきです」
「ここは俺様の出番だ。敵陣深く暴れまわるぞ」
その男は圧倒的に強かった。なにしろ、二十個の頭脳を持っているようなものだ。序盤、中盤、終盤ともに隙がなく、その男と対戦した棋士たちは瞬く間に追い込まれていった。
しかし、その男が勝つことはなかった。
なぜなら、その男の耳には、敵方の王様が泣いて命乞いをする声まで聞こえてしまうのだから。
「ここでおれを突っ込ませてくれ」
「わたくしめの斜めの睨みを活かすべきです」
「ここは俺様の出番だ。敵陣深く暴れまわるぞ」
その男は圧倒的に強かった。なにしろ、二十個の頭脳を持っているようなものだ。序盤、中盤、終盤ともに隙がなく、その男と対戦した棋士たちは瞬く間に追い込まれていった。
しかし、その男が勝つことはなかった。
なぜなら、その男の耳には、敵方の王様が泣いて命乞いをする声まで聞こえてしまうのだから。
ファンタジー
公開:18/02/15 05:27
更新:18/02/15 05:28
更新:18/02/15 05:28
ショートショート10番勝負
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