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22世紀、手紙は格段に進化した。文章を指でなぞると書いた人間の人格を反映した声が聞こえるのだ。
一日目、男の元に手紙が届いた。差出人は香織。丸文字で男に好意を持っていると言う内容だった。聞こえて来たのは美人女性の声。
二日目、今度は二通の手紙が届いた。香織が急病で倒れた。治療には大金が掛かると言う内容だった。差出人は香織の両親。威厳のある声だが、すすり泣いていた。
三日目、香織の弟だと名乗る剛が現れた。男は香織のために使ってくれと大金を剛に渡した。剛はありがとうと何度も頭を下げ、静かに去って行った。
それ以降、香織からの連絡は途絶えた。
男は香織の身を案じ、警察に相談すると剛が大金を横領していた。
男は警察に聞いた。
すいません。病人の香織は助かったのですか。
はっ、何を言っているのだ。香織などと言う女性は最初からいない。彼が声色を変えていたのです。
なんて事だ。剛は多重人格だったのか。
公開:18/02/15 03:42
更新:18/02/19 03:14

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