お花はお好きですか？

花は朝一番に開くと聞く
ふぁ…眠い…
花壇に座り自分が育てた花が咲くのを待つ

眠ってしまったようだ
「あの…おはようございます」
ハッと目覚める
…誰？
白いワンピースの美しく若い女性
どう頭を捻ってもこんな可憐な知り合いは僕にはいない
「いつもここで見かけていたので気になって」
側から見たら変人と思われていたのかもしれない
「毎日このお花を見ていらしたのですね」
おっ！咲いてる
初めて見る白い花だった
「お好きなのですか？お花」
…いえ
事情を話しても狂人扱いが関の山
「あの…デートして下さい」
は？
何を言いだすんだこの美女は…
「ダメ…ですか？」
可愛く言うのはズルい

彼女と花壇の前で待ち合わせる楽しい日々が続く
しかし…
「今日で最後です」
突然彼女の口からそんな言葉が…
薄々気づいていたよ
花の命は短く残酷だ
「育ててくれてありがとう」
また会えるかな
「はい。種が実ります」