音声手紙

メールやLINEが連絡手段の主流になった昨今だが、僕が大切な人に気持ちを伝える時は今も手紙だ。
手紙も進化しており、開封すると文章を送り主の声で読み上げてくれる音声手紙が現代の密かな人気だ。
録音せずとも専用のペンと便箋で手紙を書くだけで自動的に音声再生が可能なのだから、すごい時代になったものだ。

結局声で伝えるなら電話でいいだろうって？
それでは情緒がない。これだから教養の無い奴は困る。

つい先程、遠距離恋愛中の彼女に出した音声手紙の返事が、これまた音声手紙で届いた。
これが手紙の醍醐味さ。開封して彼女の声を聞くとしよう。


『　拝啓　X郎様

お手紙ありがとう。
あんた、わざわざ音声手紙で「君の顔が見られず幸いです」ってどういうこと。
別れを手紙で切り出すなんて、斬新だね。死んじまえ!!

敬具　A美　』


僕の目に涙が浮かび床に溢れた。
自分の教養の無さがあまりにも「辛い」。