続・完全防備

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「手が寒そうね、これあげる。」

 そう言って彼女は、ポケットの中からカイロを取り出し僕に握らせた。

「あったかい、ありがとう。」

 二月も半ば、まだまだ寒い。結構な熱源が、かじかむ指をほぐしてくれる。

「あとこれ、チョコレート。時節柄ね、仕方ないからあげるわ。」

 ずっとポケットに忍ばせていただろうそれは、ぞんざいな口調にもかかわらず、きれいにラッピングされている。

 イベント事が大好きな彼女のことだから、実は、相当な手間暇をかけているだろう。

 僕は、どうするのが正解なのか?

 チョコレートは、カイロと同じポケットから出てきた。

 笑顔あふれる彼女は、無防備にもほどがある。
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公開:18/02/13 18:07
更新:18/02/14 22:15

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