バレンタインに幽体砲

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 幽体砲を手に入れた。撃つと自分の魂が幽体離脱して弾丸となる。そして相手にぶつかると、その魂を追い出して相手の身体をのっとれる。彼女を奪った野郎をこれで撃って、再び彼女を僕のものにするのだ。

 今日はバレンタインデー。かつて僕と待ち合わせた店で、彼女はあいつを待っていた。変装した僕は、少し離れた席であいつが現れるのを待った。

 少し遅れてあいつがやってきた。高身長、高学歴、高収入、そして明るい笑顔。僕にはないものばかりだ。だが悔しく思う必要はない。幽体砲であいつを撃てば、全てが僕のものになるのだ。

 都合のいいことにあいつは僕を背にして腰掛けた。僕はゆっくりと狙いをつけ、引き金を引いた。その瞬間、あいつはスプーンを落としてかがみ込んでしまい、僕の魂は向かいの彼女に命中した。
SF
公開:18/02/14 15:08

一田和樹( バンクーバー )

小説を書いています。
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公式サイト http://ichida-kazuki.com 
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使用している写真は全て私自身が撮影したか描いたものです。

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