宇宙将棋

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 新しい宇宙の覇権を巡ってふたりの神が将棋で争っていた。盤上にはさまざまな惑星の文明が並ぶ。
「ガス生命体の霧状文明で星系を支配下におさめたか。なかなかやるな」
「そっちは有機装甲とは変わった文明を作ったもんだ。さすがに邪神は考えることが違う」
 ふたりは宇宙将棋に興じる。だが、生物はたまったものではない。盤上で起きたことは実際の宇宙に反映される。天変地異で文明が滅んだり、空から恐怖の大魔王が降臨したりする。
 一億年経つと邪神が優勢になってきた。このままでは負けると考えた旧き神は切り札を出した。新しく盤上に現れた文明は瞬く間に全星系に広がり、宇宙そのものが消滅させた。
「お前は負けそうになると、いつもその文明を使う。いい加減にしろ」
 邪神は暗黒に包まれた宇宙を憎々しげに見つめる。
「いざという時には人類の文明だな。急速に発展して全てを巻き込んで自滅する」
「絶対に勝てないけどな」
ファンタジー
公開:18/02/14 14:58
ショートショート10番勝負

一田和樹( バンクーバー )

小説を書いています。
Amazon著者ページ https://t.co/ZrGUiK7HaJ 
公式サイト http://ichida-kazuki.com 
ツイッター @K_Ichida
使用している写真は全て私自身が撮影したか描いたものです。

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