メアリーおばさんの家

4
201

裏山の花畑に囲まれた家に、メアリーおばさんは住んでいました。彼女は、幼い私に、編み物やお菓子作りなど様々なことを教えてくれました。メアリーおばさんは、私が帰る時にいつも花をプレゼントしてくれました。おばさんがくれる花は、その日の私にぴったりな花言葉を持っていました。友達と喧嘩をしてしまった時は「真の友情」という花言葉を持ったゼラニウムを。私が恋に苦しんでいる時は「あなたは魅力的」という花言葉を持った赤いラナンキュラスを。
私が引っ越すことになり、最後にメアリーおばさんと会った日。別れを惜しむ私に、彼女は紫色の美しいリナリアを手渡しました。

数年後、大人になった私はメアリーおばさんの家を訪ねました。しかし、花畑の家は跡形もなく消え去っていました。かつて彼女の家があった場所には、あの日私がもらった、美しいリナリアが咲き誇っていました。

リナリア:オオバコ科に属する花で、花言葉は「幻想」
ファンタジー
公開:18/02/13 21:32
更新:18/02/13 21:57

小狐裕介

作家としてショートショートや短いお話を書いています!

作品集「3分で"心が温まる"ショートストーリー 」(辰巳出版)発売中。
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4777824179/

光文社文庫「ショートショートの宝箱」に「ふしぎな駄菓子屋」収録。
幻冬舎「未来製作所」に「砂漠の機械工」他収録。

最近はYouTubeも頑張っています!

YouTubeチャンネル:https://www.youtube.com/channel/UC86ZZ2gKNICqbOQ7flwUT0Q

Twitter:https://twitter.com/foxtalk_tweet

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容