笑チョコ

「はいこれ。笑チョコよ」
今日はバレンタイン。突然同僚の女子社員から聞いたこともないチョコをもらった。
「仕事中は食べちゃダメよ」

休憩時間。そんな注意などすっかり忘れた僕は、小腹がすいたのでそのチョコを口にした。
デスクに戻り電話を取る。客からのクレーム処理が僕の仕事だ。
「何が可笑しい！！」鼓膜を破りそうな客の怒号。
が、何故だろう、笑いが止まらない。
「あっ…くくくっ…その件につきましては…うはははっ」
「もういい！」
呆れたお客が次々と電話を切る。
ヤバイ、これでは仕事にならない。というかクビになってもおかしくない。
「あら、食べちゃったのね」
「君ね…うははは…なんて事…くくっ」
ダメだ、笑えて話にならない。
その効果は10分ほどで治ったがこの大失態に僕は頭を抱えた。
「ごめんなさい。でもこれ食べてみて」
またチョコかよ。
「詫びチョコよ。お詫びの言葉がスラスラ出てくるの」