心租改正

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22世紀。人間の感情から様々なエネルギーを得ることのできる装置が発明されて、まもなくのこと。当然のように地租改正ならぬ、“心租改正”が行われ、人々は金銭と同時に、充足感や安堵感などの、無意識下において覚えた幸福的感情でも納税することが義務付けられた。生誕時、脳の特定部位に埋め込まれた検査チップにより、常時厳密に計測され、電波を媒体として、その8%を定期的に徴収されるのである。結果、一番高い税収をもたらす者が、いわゆる中毒者や精神病者、浮浪者、犯罪者、そして皮肉なことに、“被害者”であることが判明した。その事実が各国において、機密情報として扱われていることは、言うまでもない。
SF
公開:18/02/11 23:40
更新:18/02/11 23:57
ショートショート十番勝負

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