お花畑の紳士

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幼い頃から私のまぶたの裏にはお花畑が広がっていました。目をつぶると、いつでもお花畑を楽しむことができるのです。周りの人からはよく「おまえの頭の中はお花畑だな」と言われました。
最近になって、私のお花畑に客人がいらっしゃるようになりました。客人は素敵な紳士で、いつも私と共にお花を愛でてくださいます。
ある日、私は電車の席に座りながら、目を閉じてお花畑を楽しんでいました。すると、遠くから、かの紳士が素敵な花束を持って近づいてきました。これは、もしやプロポーズ!? 私がじっとその場で待っておりますと、紳士はとうとう目の前まで来て、私に花束を手渡しました。私は思わず「やったー!」と叫び、電車の席から勢いよく立ち上がりました。周りの乗客が皆こちらを見て笑っています。私は人生で一番恥ずかしい思いをしながら席に戻りました。すると隣の男性客がクスッと笑い、こう言いました。
「今度、本物をお渡ししますね」
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公開:18/02/11 22:45

小狐裕介

作家としてショートショートや短いお話を書いています!

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光文社文庫「ショートショートの宝箱」に「ふしぎな駄菓子屋」収録。
幻冬舎「未来製作所」に「砂漠の機械工」他収録。

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