第7話「板挟み生活」
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翠は必死で逃げていました。
学校の帰りに近所のお寺で遊ぼうとしたら、門の仁王像に追いかけられたのです。いつの間にか友達もいません。
「ママァ!」
咄嗟に呼んだのはお母さんでした。敷居につんのめり、落ち葉で滑って石段を転げ落ちました。
阿と吽の二体の仏像は翠の体を鷲掴みにし、両側からぎゅうぎゅう押しました。
「痛いよう。潰れるよう」
気を失いかけたとき、目が覚めました。翠は布団の上で、大口を開けてイビキをかく茜、しかめ面で歯軋りする葵、二人の姉に両側から押し潰されていたのです。跳ね起き、二人の姉の体を押しのけて、枕を持って部屋を出ようとしましたが、ふと足を止め、二人の顔を見ました。
「ごめんね。葵姉ちゃん、茜姉ちゃん」
翠は小さな声で呟き、やっぱり二人の姉のあいだに戻り、姉を呼ばなかった自分を責めました。そうして、いつしか眠ってしまいました。
眠った翠を見て、葵と茜は優しく笑いました。
学校の帰りに近所のお寺で遊ぼうとしたら、門の仁王像に追いかけられたのです。いつの間にか友達もいません。
「ママァ!」
咄嗟に呼んだのはお母さんでした。敷居につんのめり、落ち葉で滑って石段を転げ落ちました。
阿と吽の二体の仏像は翠の体を鷲掴みにし、両側からぎゅうぎゅう押しました。
「痛いよう。潰れるよう」
気を失いかけたとき、目が覚めました。翠は布団の上で、大口を開けてイビキをかく茜、しかめ面で歯軋りする葵、二人の姉に両側から押し潰されていたのです。跳ね起き、二人の姉の体を押しのけて、枕を持って部屋を出ようとしましたが、ふと足を止め、二人の顔を見ました。
「ごめんね。葵姉ちゃん、茜姉ちゃん」
翠は小さな声で呟き、やっぱり二人の姉のあいだに戻り、姉を呼ばなかった自分を責めました。そうして、いつしか眠ってしまいました。
眠った翠を見て、葵と茜は優しく笑いました。
ホラー
公開:18/02/12 21:03
更新:18/02/21 10:50
更新:18/02/21 10:50
三姉妹
家族
2018年2月8日SSG登録
Twitter:https://mobile.twitter.com/iruya_rata
<三姉妹シリーズ>
親もとを離れて暮らす三姉妹の暮らしを
ショートショートで綴ります。
長女・葵(あおい) 社会人
次女・茜(あかね) 高校生
三女・翠(みどり) 小学生
そのほか1話モノ。
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