花言葉

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昔から、花が好きだった。いいや、君に花を贈るのが好きだった。花言葉を調べて、今の関係にふさわしい花を贈り、花に隠された意味を知らずにわざわざいいのに、と笑う君が好きだった。

無邪気に遊んだ頃には、友情、思い出。ライラックを。
君の身長を追い抜いた頃には、変化、信じる恋。エソギクを。
成長し、互いに気持ちを確かめ合った頃には、情熱、貴方を愛しています。バラを。
守るべき人が増え、心の底から幸せだった頃には、純粋、再び幸せが訪れる。スズランを。

そんな僕と君と花の関係にも、終わりの日が近づいていた。
大きくなった子供、純粋な瞳をした孫、老けた顔の僕に囲まれ、布団に横たわっている君。今日が峠だとお医者様に言われていた。
婆さん、今日も花をどうぞ。と最後に渡すべき花を君に見せる。
「貴方ってば、粋なこと。」
そう笑って君は、大事そうに赤色の菊を抱えて旅立った。
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公開:18/02/10 12:56
更新:18/02/27 15:55

GaNTai( じゃぱん )

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