2月13日の夜

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「チョコ?」
「そう。明日バレンタインデーでしょ?自分用にって買ったけどお兄さん私の好みだし、良かったら貰ってくれない?」
そう言って彼女は、シックなラッピングが施された正方形の箱を差し出してきた。
彼女と言っても、俺の彼女ではない。バーのカウンターで隣同士になって、たまたま話が意気投合して、かれこれ1時間くらい会話してただけの、初対面の女性だ。
正直、見た目も顔も良い方だと思う。凄く俺好みだ。そんな女性から「それで、良かったらそのままタノシイことしない?」なんて言われてみろ。酒も後押しする材料にしかならず、理性が少し揺れる。揺れるが、3ヶ月前から付き合い始めた有希の顔が浮かぶ。
「ごめん。俺、彼女がいるから。」
「あら、それは残念。」
そう言うと彼女は、あっさりと引き下がった。

家に帰ると、有希から電話があった。
「信じてたよ。」
どうやらあの誘惑してきた女性は、有希の姉だったらしい。
ホラー
公開:18/02/10 12:17

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