税……税……
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その男は政府のために新しい税を考えることが仕事だった。
「日照税……歩行者優先税……優先席利用税……」
電車に乗っているときも、窓から外を眺めているときも四六時中、税のことばかり考えていた。
「飲酒税……副流煙喫煙税……満腹税……」
食事中も税のことばかり考えている男に、妻は意を決したように切り出した。
「ねえ、もう私耐えられない。あなたがこれ以上、税金のことばかり考えているなら離婚するわ」
「えっ……、うっ」
さすがの男も、妻の言葉にはショックを受けた。苦しそうに心臓を押さえると、そのまま倒れ込んでしまった。
「ちょっと、大丈夫?」
妻は驚いて男のもとに駆け寄ったが、急に立ち上がると冷たい目で言い放った。
「それがあなたの答ってわけね。よく分かったわ。さようなら」
背を向ける妻に、男はなすすべもなく繰り返す。
「ゼイ……ゼイ……」
「日照税……歩行者優先税……優先席利用税……」
電車に乗っているときも、窓から外を眺めているときも四六時中、税のことばかり考えていた。
「飲酒税……副流煙喫煙税……満腹税……」
食事中も税のことばかり考えている男に、妻は意を決したように切り出した。
「ねえ、もう私耐えられない。あなたがこれ以上、税金のことばかり考えているなら離婚するわ」
「えっ……、うっ」
さすがの男も、妻の言葉にはショックを受けた。苦しそうに心臓を押さえると、そのまま倒れ込んでしまった。
「ちょっと、大丈夫?」
妻は驚いて男のもとに駆け寄ったが、急に立ち上がると冷たい目で言い放った。
「それがあなたの答ってわけね。よく分かったわ。さようなら」
背を向ける妻に、男はなすすべもなく繰り返す。
「ゼイ……ゼイ……」
その他
公開:18/02/11 13:57
更新:18/02/12 07:42
更新:18/02/12 07:42
ショートショート10番勝負
瓜生聖
ITmediaで記事を書いている兼業ライター
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