くつした税

　財源確保に必死となる愚鈍な政府はついに「くつした税」を導入した。
　市場に出回る全てのくつしたは片足毎にくつした税が課せられ、値上げを余儀なくされた。また、現在履いているくつしたに穴が開いていた場合にも厳しい罰則が課される。タイツやストッキング、足袋も課税対象である。
　ただでさえ貧困にあえぐ市民は当然のようにくつしたを履かなくなった。保育園・幼稚園では裸足教育が活発となり、学生の間ではビーチサンダルで登校するのが当たり前となった。サラリーマンは裸足でローファーを履いている。くつしたを履かないことで有名な芸能人の本がヒットし、SNSでは自分の素足を自撮りして載せた。
　市民が裸足の生活に慣れるのは早かった。と同時に、足の臭いや水虫感染の問題が浮上。くつしたを履かない人が多い地区では不衛生な環境により死人が相次ぐ結果となった。
　しかし、くつしたを履く人々と政府は沈黙を続けるのみであった。