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この世が寿ぐようにと、私は咲く。
人々が安寧であれと、私は。
だが、この頃の様相はどうであろう。毎年、私が見てきたこの『世界』は、日に日に歪んでいっているように思うのだ。
何時からこうなったのであろう。何時から道がずれていったのであろう。
手に手を取り、『しあわせ』を目標に、そうやって歩んできたはずが、何故。
「ママー、この桜、おっきいねえ」
「そうね、ご神木だものね。さあ、お詣りしましょう」
私を見上げ、幼子が目を輝かせる。
母に手を引かれ、歩む姿は何時の世も変わらぬというのに。
私の『力』が足りぬのだろうか。それとも――
私は、そこで考えるのを止めた。世がどうであろうと、私が咲く理由は変わらぬのだ。
私は此処に『在る』。
それだけでいい。そうして、花を咲かせれば、一時の和みにもなるであろうから……
今年も、寿ぎと安寧を祈りながら、私は花を散らせる。
人々が安寧であれと、私は。
だが、この頃の様相はどうであろう。毎年、私が見てきたこの『世界』は、日に日に歪んでいっているように思うのだ。
何時からこうなったのであろう。何時から道がずれていったのであろう。
手に手を取り、『しあわせ』を目標に、そうやって歩んできたはずが、何故。
「ママー、この桜、おっきいねえ」
「そうね、ご神木だものね。さあ、お詣りしましょう」
私を見上げ、幼子が目を輝かせる。
母に手を引かれ、歩む姿は何時の世も変わらぬというのに。
私の『力』が足りぬのだろうか。それとも――
私は、そこで考えるのを止めた。世がどうであろうと、私が咲く理由は変わらぬのだ。
私は此処に『在る』。
それだけでいい。そうして、花を咲かせれば、一時の和みにもなるであろうから……
今年も、寿ぎと安寧を祈りながら、私は花を散らせる。
ファンタジー
公開:18/02/11 12:38
思いついたままに、文字を綴る。
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