第5話「インフルエンザ」

三女の翠が高熱を出し、インフルエンザと診断された。翠の欠席により学級閉鎖が決まったらしく、
「わたし英雄だよ。クラスのみんなに讃えられる」
と、翠は朦朧としながら言った。
「バカなこと言ってないで寝てなさい。仕事行ってくるから」
会社には昼からの出社を願い出ていた。仕事場も最近は欠勤者が目立つ。
出掛けようとしたその時、
「ただいま。もう無理」
次女の茜がふらふらと帰ってきた。保健室で39℃をマークしたと言う。
「アンタよく帰ってこれたね」
「これであたしのクラス学級閉鎖だよ。やっはー」
「茜までそんなこと言って。病院行く？」
茜が、自分で行くからいい、と言うので迷っていたら、スマホが鳴った。
(連絡。第ニ営業部は欠勤者多発の為しばらく休業です。部員は自宅待機されたし)
「やったじゃん。病院行こうよ」
真っ赤な顔で喜ぶ茜を見て、目眩がした。なんだか頭痛もする。
次は家庭閉鎖かもしれない。