少年の像

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その村には、有名な像があった。
それは、とてもよくできた少年の像で、着ているセーターのほつれや、髪の毛の寝癖まで、細かく作り込まれていた。
誰が作ったのかは知らないが、それは、50年も前からそこにあるらしく、村のみんなは親しみを込めて、少年の像をボーイと呼んでいた。
「やあ、ボーイ」
「今日は、調子よさそうねボーイ」
「あーあー!濡れてるじゃないかボーイ」
そう言って、雨の日には傘を貸す人もいた。
ある日、子どもが村外れの老婆の家を訪ねて聞いた。
「ボーイは、誰が作ったの?」
「だぁれも作っとらんよ」
「そっかー」
いつもなら、ここで終わるのだがこの少年はさらに
「じゃあ、なんでボーイはあそこにずっといるの?」
「それはな、」
「あ、お兄ちゃん!こんな所にいたの?お母さん怒ってたよ」
少年の妹だろうか、女の子が来て少年を引っ張って行ってしまった。


少年の像は今も村に。
ファンタジー
公開:18/02/10 01:10

ぷー( 松山 )

綺麗な文章が好きです。
コメントもらえたら喜びます。
そろそろ秋だなぁ

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