よきもの

　物に溢れた空間。
　最近は、それと正反対に物が少なく、まるでモデルルームのように整った部屋がもてはやされるが、私は物が無いと落ち着かないのだ。
　隙間を埋め尽くしているのは、愛着のあるものばかり。
　他人から見たら、取るに足らない物だろう。しかし、私には宝物だ。
　長く長く使っていると、情も湧くし、手放せなくて、本や服、バッグ、化粧品などなど……とにかくたくさん。
　少し整理したこともあるが、なんとも言えないスカスカした気持ちになり、新たにまた買ってしまう。
　これも、精神安定剤のようなものだ。
　自身にそう言い聞かせ、今日も私は新たな出会いを求めて、お店巡りをするのだ。
　古い物と新しい物が混在した部屋で、満たされるのだ。
　そこは天国かもしれない。
　期待を抱いて。