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その日の朝、空から粉雪の様に何枚もの紙が降ってきた。
私は何かの宣伝かなと思い、その紙に目をやった。するとそれは自分名義の借用書だった。
ひどい、一体誰がこんな悪戯をしたのかしら。信じられない。
同日夕方、新聞を取りに行くと今度は郵便受けに札束がぎっしり詰め込まれていた。私はその時、直感した。
これは天からの贈り物だわ。
だからその日のうち高級旅館に予約を入れ、家族全員で泊まる事にした。
家に帰ってみると庭には昨日、降り積もった借用書が厚く覆っていた。
子供達はそれを玩具に遊んでいる。一方で近所からクレームが来た。
私はしぶしぶそれをかき集め、燃えるゴミに出した。
それから何日か経った頃、今度は牡丹雪の様な借用書が降った。深夜過ぎには猛吹雪だった。
翌日、私は屋根の上に降り積もった借用書に押し潰され亡くなった。
それと同時にあの借用書は綺麗さっぱり消えていた。あのお金は命の対価だったらしい
公開:18/02/09 01:08
更新:18/02/14 05:07

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