海の名は

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はっと目を覚ますと目に入ったのは畳の床。寝起きのぼやけた思考で思い出したのはここが慣れ親しんだ祖父母の家ということ。

仕事のプレッシャーやストレスから逃げるように来たのは自分の部屋でもなく、実家でもなく、友達の家でもなく、何故かこの家だった。家屋の中に人の気配は無く、家主の祖父母は仕事場に行っているのであろう。掛かっているタオルケットを畳んで隅に置いた。私はゆっくりと立ち上がった。

季節は夏。がらりと音を立てて引き戸を開けると突き刺さんばかりの強い日差しが肌に、目に入った。私はその日差しの中吸い寄せられるようにある場所に向かって駆け出した。

恐らく私だけが知る秘密の砂浜。周囲は崖に阻まれ、ここに行けるのは茂みが隠している道を進むしかない。心地よい波の音が近づく。私はその砂浜に躍り出た。

「おかえり」

「ただいま…っ」

そう言って鮮やかに笑う海の中へ私は飛び込んだ。
ファンタジー
公開:18/02/08 17:31

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ふーん

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