雪かき1

0
219

 顔の長い男が俺たちを見て言った。
「起きろ、外へ出ろ、雪かきだ」
「ここはどこだ、家にかえせ」
 隣の寝台で寝ていた男が言った。顔の長い男がそいつを蹴り上げた。
「黙れ、早く行け」
 俺たちはパジャマで外に出る。外套は無い。長靴が貰えただけ儲け物だ。プラ製のスコップが渡される。柄の部分が細く丸い木製だ、だからバランスが悪く持ちにくい。
 寒さで気持ちが悪い。白い雪が舞っている。新雪だった。ゆっくり作業をしないと、雪はスコップから溢れ落ちる。左右と奥、スコップで刻みを作りその下を突き刺す。ブロック状に切り取られた雪が、スコップの上に乗る。後へ捨てようとすると殴られる。
「遅い、早くやれ」
 早くやろうとすれば、雪がこぼれて雪かきにならない。また殴られる。
「こぼすな」
ファンタジー
公開:18/02/08 03:00
更新:18/02/07 15:25

一条美紀( 北陸 )

1957/9/11生まれ
新規一転したくて
のそのそとやってます。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容