定期チキン

子供ができて今後の蓄えについて銀行に相談に行った。
行員さんが「もし良ければ最新の定期を」と紹介してくれたのが【定期チキン】だった。
定期預金の聞き間違いと思っていたら、その名の通り鶏を銀行に預けると言うものらしい。
世界的規模の異常気象によりこの国も深刻な食糧不足に直面するかもしれず、食料となる鶏を預けておいた方がいいと言うのだ。
鶏１羽で利子として毎日卵１個もらえるとのことで、早速うちは３人家族だから３羽定期チキンに入れた。
毎朝通ううちに愛着もわき、鶏にそれぞれ自分たちの名前をつけて可愛がった。
ある冬、鳥インフルエンザが流行して各地で鶏が殺処分されている二ユースが流れた。
幸い銀行の鶏は無事だったが、手遅れになる前に解約しようと手続きを取った。
後日送られて来たのは、自分たちの名札がぶらさがった鶏のローストチキンだった。
もちろんその首は介錯（解約）されていたのは言うまでもない。