声のナイフ

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 気がつくと人の声がナイフになっていた。言葉を口にするたびに近くの人を傷つけてしまう。最初は傷つけ合わないように距離をおいて離すようになった。
 やがて他人の声のナイフは、自分の声のナイフで防御することができることがわかると、人々は声のナイフで切り合うようになった。

 血で血を洗う論戦が繰り広げられ、二枚舌の二刀流、離れたところから陰口をたたく槍術など多数の流派が生まれた。
 気がつくと一瞬のかけ声のみで相手を殺す居合いだけが生き残り、もはや意思疎通はできなくなった。
ファンタジー
公開:18/02/06 15:03

一田和樹( バンクーバー )

小説を書いています。
Amazon著者ページ https://t.co/ZrGUiK7HaJ 
公式サイト http://ichida-kazuki.com 
ツイッター @K_Ichida
使用している写真は全て私自身が撮影したか描いたものです。

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